シュージローのマイルーム2号店

　地上部分を出ての、2人の対決。
　ハルユキは、タクムがシルバークロウの速さに見切れる前に決着を着けるとばかりに、すばやさを利用してのヒット＆ウェイ戦術でタクムに対抗する。
　案の定、シルバークロウのすばやさにシアンパイルはまったくついていけず、ハルユキの圧倒的有利の状況でマウンドポジション態勢をとると、残っている右手で何度も何度も殴りながら、チユリの悲痛な叫びを代弁する。
　彼女は、学年1位とか都大会1位とかの勲章ではなくて、タクムがタクムのままでいてほしい事を望んでただけだ―― そういう気持ちをタクムにぶつけていくのですが、今のタクムには、その悲痛な叫びなどまったく聞く耳持たず。
　逆に、ブラックスティンガーの攻撃を発動させて、ハルユキにダメージを与えてしまう。

　ダメージを受けて倒れてしまうハルユキに対し、タクムの方は『必殺技ゲージ』が満了に溜まったのを見ると、どうぞ使ってくれと、ものすごく余裕な態度で見下しまくる。
　確かに、ハルユキの必殺技ゲージも満了なのは事実だが、必殺技が頭突き というのを考えると、容易には使えない。
　それでも、自分には拳とスピードがあると意気込み彼だけど……なんと先程のタクムの攻撃の影響で、シルバークロウの右足下部分が割れる様に裂けてしまったのだ(￣口￣;)!!!
　これでは、得意のスピードでの回避もラッシュも全然利用できない!!!
　この姿に、脆いしハルユキは地べたに這いつくばってるのがお似合いだし、自分がチユリの事を自分は理解してるみたいな言い草に腹が立つばかりに、さらに罵りまくるタクム。
　チユリと2人でいる時の突如の悲しい表情の意味が、実はハルユキの事を考えているんだと知った時の自分の気持ちは考えた事があるのかとも言い出し、ハルユキがそんな風に弱虫だから、チユリも自分も彼という泥沼に嵌まったままなのでもう消えて自由にしてくれ と、あまりにも身勝手すぎる発言を言いながら、シアンパイルの大技『スパイラルグラビティードライバー』を炸裂させる!!
　もう終わりにしよう、ハル。
　タクムの身勝手な言葉に愕然としたハルユキは、右腕のパイルバンカーから炸裂させた、猛烈な一撃をモロに受けてしまう。
　ハルユキはそのまま建物内部の1階にまで叩き落されてしまうが、ライフはわずかだけ残る。
　それでも、このまま時間切れの勝利になると確信した様で、観戦してるバーストリンカーたち＆青の王のレギオンに対して、自分はまだまだ戦えるし役に立てるし、少しポイントを使いすぎたからって捨てるには惜しいでしょと猛アピールし出したのだ。


　屋上からそう訴えるタクムの声を聞くハルユキ。
　あまりにも無残すぎるタクムの姿。
　チユリやタクムや黒雪姫の為にも、
　この戦いには負けられないのにという悔しい思い。
　それらの心境に、ハルユキは泣きながら今にも心が折れそうな気持ちになってしまう。
　だが、彼が落とされた1階を見てみると、異様な篭の中で眠る黒雪姫のアバターがそこにあった。
　ボロボロにながらも彼女に擦り寄るハルユキは、眠れる黒雪姫の期待に応えられなかった上に変われると思ったらダメだった事、このアバターをこんな風にしてしまったのは『空を見ようとせずに下ばかり見てた自分』のせいだと責めてしまう。
　黒雪姫がいる場所へ行き、一緒に飛びたかった…。
　涙目でそう言いながら、眠れる黒雪姫の胸元に頭を寄せるハルユキ。
　だがその時、彼の耳に聞こえた音―― 黒雪姫の心臓音 が、ハルユキの耳に入る。
　それは、強さというのは、決して結果としての勝利を意味するものではない と断言した彼女の『生きる』鼓動の音。
　それを耳にしたハルユキは、強さとは勝つ事ではなくて、たとえどんなに無様であろうとも、ボロボロになろうとも、ただ必死に抗い空を見続けることなのだ！と理解しながら立ち上がる。
　その時、彼の身体の背中から、まるで何かが生まれようとする程の鼓動が動き出しまして、背中からの熱さと一緒に、鳥の翼の様な羽根が起動したのだ。
　突然すぎる一時的な浮遊に出来事に、影を見て驚くハルユキ。
　それはまるで、自分が空高く舞い上がりたいと願ったが故にもたらされた、飛翔していく鳥の様だった。
　ハルユキは、穴が開いてる事で見える空に向かって飛翔を始める―― その速さは、強烈なソニックブレードを引き起こし、あっと言う間に戦場はおろか、それよりも遥かに上空の世界へと飛び立っていた。
　空から見える都市の光景は、あまりにも広大にして無限。
　それはまさに、ハルユキを魅了するのに十分すぎる程の光景だった――。


　なんとか、戦場の大地に降り立った彼の姿を見たアバターたちは、一様に驚きを隠せない。
　シルバークロウが、ジャンプしているのではなくて飛翔しているのを――。
　どうやら、ハルユキのシルバークロウは、飛行アビリティーを持つ 加速世界初の飛行型アバター だそうで、これには観戦者も動揺と脅威が広がる。
　だが、タクムだけは お前がボクを見下ろすな！と否定し、ハルユキに向けてパイルバンカーを構える。
　しかも、シアンパイルの必殺技ゲージが一気にゼロになるのを見ると、必殺技を放つ態勢だ!!
　ハルユキは、必殺技の『頭突き』と右腕の一撃を利用しての猛烈な勢いでの落下を開始し、タクムもパイルバンカーの杭の一撃を放つ必殺技『ライトニングシアンスパイク』を発動させる。
　互いの技をぶつけた一撃……だが、今のハルユキには杭の先が見えていて、なんなくパイルバンカーの杭の一撃を剃る様にしてかわしていきながら落下すると、地面ギリギリのところでシアンパイルの腹に命中＆そのまま大きく上へ曲がる様に一緒に上空へ飛翔していきました。

　あまりにも強烈過ぎた一撃で、少しの間だけ意識を失ってたタクム。
　気がつくと、ほんの少しだけ貫いているハルユキの右腕で支えられる形で上空へ飛翔している状態だが、ハルユキのシルバークロウも無事な訳がなく、小さな火花がパチパチと飛び散る程のダメージを受けているのだ!!!
　さすがのタクムも、上空に飛翔した時の壮大さよりも、ここから地面に落下した後のポイント喪失でゼロになる及びそれによる強制アンインストールへの恐怖の方が遥かに強く、ここから落とさないでくれと嘆願する。
　でも、タクムがやらかした事は、不正な方法で、黒雪姫の夢とたった1つだけの希望を粉砕しようとしたこと。
　それをハルユキから本気で責められたタクムは、観念したかの様にシルバークロウの右腕を抜いてそのまま落下を始める。
　ゴメン、キミの勝ちだ……ハル。
　でも、そうはさせまいと、ボロボロの右腕でシアンパイルの手を掴むシルバークロウ。
　そしてハルユキは、リアル世界では絶対にタクムには勝てないと認めた上で、加速世界では絶対に自分には勝てないという事を認めるか!?と問う。
　その意味は、自分とタクムは対等の存在になったという事で、だからこそ、自分の味方に仲間になれ と求めてくる!!
　それはもちろん、青の王の配下としてではなくて黒雪姫の配下として戦えという事を意味している。
　さらにハルユキは、今回の件やブレインバーストの件、さらには自分とタクムが隠し続けてきた気持ちなどのすべてをチユリに暴露して打ち明けようと、タクムに返答を求める。
　まさかの親友からの勧誘を聞いたタクムは、たった2人の友達ですら裏切った自分を信じられるのかと驚いた様子だった。
　再び3人一緒でいる為にも、最初からやり直す為にも――。


　上空から屋上に降り立ったハルユキとタクム。
　すると、エレベーターが起動する音が聞こえてきまして、まさかと思ってハルユキが出入り口の方へ向かう。
　エレベーターが屋上部分に到着し、扉が開封された時、出てきたのは 黒雪姫 でした＼(^o＼)(／o^)／
　生死の境をさ迷った彼女だけど、ハルユキの声が聞こえてきた事もあって、意識を取り戻せました☆彡
　彼女の無事を見て、ハルユキもつい、黒雪姫と抱擁♪
　彼女もまた、ハルユキが自分を守ってくれたと同時に、シルバークロウの背中に生えた翼に触れながら見惚れる。
　彼女曰く、今まで純粋な形での飛行アビリティを実現したのはいなかったという。

　ハルユキのシルバークロウの新たな姿を見た黒雪姫は、ハルユキこそがこの世界を変えていくものだという予感は間違ってなかったと確信すると、自分もまた、安穏とした繭から出て空を目指そうという決意を固める。
　そして、外で尻餅をついてるシアンパイルに対して、幾度となく名誉あるべき戦いを汚してしまったと謝罪した上で、本来の自分の姿を披露して望むならば全力で相手しようと告げてくる。
　
　ブラックロータス、再臨(;￣O￣)おお～!!
　まさかの黒の王の再臨に、目撃したバーストリンカーの観戦者たちは驚きを全然隠せずです。

　黒の王という事もあり、黒光く輝いてるブラックロータスを見て「きれいだ」と一目惚れするハルユキ。
　まあ、黒雪姫からしたら、両手が凶器の手では誰かと手を繋ぐ事ができないと、ごもっともなツッコミが入りましたがね。
　そんな中、黒雪姫はハルユキに、お姫様抱っこをしながらの飛翔を求めまして、ハルユキもそれに答える。
　そして彼女は、上空から六王のレギオンに連なるバーストリンカーたちに対して宣戦布告を行う!!!
　わが名は、ブラックロータス！
　先王の支配に抗うものだ!!
　我と、わがレギオン『ネガネビュラス』。
　今、雌伏の網より出でて、偽りの平和を破らん!!
　剣を取れ、炎を掲げよ!!
　戦いの時、来たれり!!!


　しばらくして、なんとか面会が出来るまでに回復した黒雪姫。
　ハルユキもお花持参で部屋の前にやってくるも、ここでも優柔不断ぶりが発揮されて、彼女の方から通される展開に(T^T)
　ベッドの上にいた彼女は、まさかのおさげ髪型に♪
　これには、ハルユキには刺激が強かったかもしれませんね～☆彡

　それはそうと、バックドアの件に動きがありました。
　BBサーバーのアップデートにより、バックドアの使用が不可能に。
　そのプログラムをタクムに渡した彼の親は、責任をとらされる形で『ポイント全損処分』になったそうな。
　ただし、バックドアのプログラムを精製した者の存在は、未だにわからずじまいという状況です。
　黒雪姫も、少しばかりの仮説の犯人の分野を推測するが、いつか自分が処分する気全開みたいっす!!!

　そんな訳で、ようやく黒雪姫に生徒手帳を返却するハルユキ。
　これには、さすがの黒雪姫も「中を見たのか!?」と、恥ずかしがりながら奪い返しちゃいました♪
　ハルユキも、正直に見てしまった事を白状するしかないっすね(●^o^●)
　すると黒雪姫は、そろそろその渾名ではなくて 名前で呼んでほしい と爆弾発言☆彡
　いい雰囲気なんですが、ハルユキは黒雪姫の名前を知りませんよ(T^T)
　そこで黒雪姫は、自分の本名をハルユキに教える。
　ワタシの名は―――!!!
　本人談では、渾名と大差がない そうです。

　次回のアクセルワールドは、第6話『Retribution：応報』です。
　本文中では、あえて作者の棒読みは無視しました。
　でも、ツィッターでは、もうないみたいな事を呟いてたけど本当かな???


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