シュージローのマイルーム2号店

　気が付くと、ジョセフたち3人は、とても小さな島の上に立っていた。
　テーブルがある上にテレビゲームが置かれていて、飲み物や何らかの収納箱などもそこにあった。
　
　もちろん、この“場”は幻覚であるが、
　幻覚を発している能力は、DIOのでもテレンスのでもない。
　テレンスは、兄の様に嘘を述べたり人を騙したりするタイプではないと断言する様な言い回りを行った上で、ジョセフたちに『自分を倒さない限りは先に進めない』と認識させる。
　
　Exactly！（そのとおりでございます）
　当然ながら、1対3の勝負も上等な様だ。
　だが勝負の前に、テレンスは 衝撃的なコレクション を披露する。
　
　テレンス自慢のコレクション集♪
　もちろん、何も知らない花京院には『普通の人形』にしか見えない。
　だけど、兄のダービーと真っ向勝負をした承太郎とジョセフからしたら、単なる人形ではない と確信していた。
　
　ダ、ダ～～ビィ～～！
　私と話をしてちょうだい…。
　お願い、お話を！話ヲヲヲヲヲ!!!!!
　彼女の悲痛な声の叫びを機に、ほかの人形たちも悲痛すぎる声の叫びをあげ始める。
　ここまで言えばわかるが、テレンスは趣味である人形作りを利用して、本物の人間の魂をその中に入れるだけでなく、着せ替えをしたり話をしたりするなどの悪趣味を堪能していた。
　兄と違いすぎたゲス行為を垣間見た3人は、力ずくでここを突破しようとする。
　ところが、テレンスは 承太郎はすでにテレンス自身のペースにハマっている と断言する。
　見ると、承太郎の右手には――！
　
　“痕跡”を残してきたというのだ。
　館の出入り口での賭けの際、テレンスのアトゥム神が承太郎の魂にほんの僅かだけ“触る”事ができたので、“痕跡”という形でこの左手をあえて彼の魂に食い込んだまま放置してきたそうな。
　このままにすれば、承太郎の右腕が魂ごと握り潰されて再起不能になる。
　そこでテレンスは、魂をかけての“ゲーム”を要望してくる。
　もちろん、テレンスに完全なる敗北を認めさせれば、承太郎の右腕を元に戻すという条件で。
　無論、こんな屈辱を受けた承太郎はやる気になるものの、テレンスは対戦相手として、花京院を要望する。
　仮に、ジョセフと承太郎2人の魂を奪い取った後、花京院がスタンド攻撃をされる可能性があるのを避ける為だ。
　花京院は、ゲームというジャンルを嗜んでるって事で、テレンスの対戦要望を承諾。
　そして、対戦ゲームとして『F-MEGA』を選択する。
　『魂』を賭けよう！
　こうして、花京院とテレンスの対戦ゲームバトルのカードが決定。
　もちろん、花京院が敗北した際は――！
　
　彼の魂が“自作済み”に中に入る事になる!!!
　が、承太郎は、自分が右拳を出したのにそれを完璧に知っていた謎を考えてほしいと、花京院とジョセフにお願いする。
　意味するものは、この謎がわからない限り、テレンスに敗北する という確信からきていた。


　ジョセフのハーミットパープルで『仕掛け』がない事が確認されたところで、ゲームスタート！
　ところが、スタート直前で、テレンスは裏技を使って通常より早いダッシュスタートを実行。
　花京院はそのやり方に気づくも時すでに遅し、スタートでいきなり差をつけられてしまう。
　もちろん、花京院が抜き返そうにもテレンスが通せんぼのガードをして妨害をするなど、序盤はテレンスペースで進行。
　でも、花京院もこのゲームをやりこんでまして、スピン回転をさせながらテレンスにタックルする。
　なんとか、テレンスと一緒に走行を止めてから、2台同時にスタートさせてレース進行をしていく。
　テレンスも、花京院の見た目とは想像つかない大胆な性格と甚大なプレッシャーなのに少しもビビらない恐怖を乗り越えたゲーム操作に敬服する。
　でも、花京院からすれば、ある意味の感謝でもあった。

　かつて、DIOに肉の芽を埋め込まれた時に、恐怖に対して鍛えられた花京院。
　DIOと出会った際、彼から発せられる圧倒的な恐怖に毛が逆立ち、胃が痙攣しその液が逆流する程の気分になった。
　その時、DIOは、子供に言い聞かせるかの様に耳元で囁いた。
　
　トモダチになろう❤
　その一言を聞いた花京院は、この後に肉の芽が彼に襲い掛かってもなお、まだまだ生きられるんだと心の底から安心した気持ちになった。
　でも、承太郎に助けられてこのたびに心底同行していくうちに、DIOに精神的にも屈したみじめな自分を呪い屈辱に強く感じ、もう二度とあの頃の自分に戻らないと強く決意していた。

　そしてレースは、二台同時に進んだまま、第六コーナーの注目の加速トンネルへ。
　ただし、加速トンネルに入るのは、1台分のみ。
　その1台には、現在の倍の850キロまで加速できる権利がもらえる ので、レースの勝敗を決する大きなチャンスだ。
　ところが、加速トンネルまであと少しというところで、重大な事実が発覚してしまう。
　実は、花京院がテレンスの先行を阻止した際のスピンタックルの栄光で、パワー残量がテレンスのより少なくなっていたのだ。
　このままでは、テレンスに押し負けてしまうのは必至。
　そこで花京院は、操作テクニックを駆使してトンネルの壁を猛スピードで走行する策を講じて、テレンスと同時に加速トンネルの中に入る。
　するとテレンスは、パワー残量が少なくなっても構わないという事で、花京院に体当たりしまくって残量減らしを実行。
　やがて、トンネル内部で『闇のトンネル』エリアに入り込んでしまい、プレイヤーから見てもどこに自分のがあるかわからない状態になってしまう。
　しかも、単なる闇のトンネルではなく、8か所のカーブと1か所の地雷原＆キャノン砲 も暗闇の中に仕込まれてるという鬼畜な仕掛け付きである(￣口￣;)!!!!
　花京院もテレンスも、このゲームをやりこんでるので、カーブの位置や上記の罠の数々の設置場所も把握済み。
　あとは、どちらが先に加速トンネルを抜け出るかというものだが――！
　
　テレンスの方が一歩リードしていた!!!!

　次回のジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダースは、第41話『ダービー・ザ・プレイヤー その2』です。


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